肝臓(漢)

▼柴胡剤-1
小柴胡湯(ショウサイコトウ)肝臓の病気には、柴胡剤の仲間がよく使われます。柴胡剤は熱をとりますので、肝臓が熱を持っているとき、つまり炎症を起こしているときに適します。柴胡剤のうち小柴胡湯は、病院で一番使われてきた漢方薬です。体力が中くらいの「中間証」で、病気の段階がわりと初期の「少陽病」に用いられます。肝炎に当てはめるなら、急性期から慢性期に移行する段階で体力もまだまだ残っている状態です。肝硬変まで進み、体力がひどく落ちている人には使えません。それと、小柴胡湯とインターフェロンの併用は禁止されています。間質性肺炎という重い副作用がでやすくなるためです。

▼柴胡剤-2
大柴胡湯(ダイサイコトウ)、柴胡桂枝湯(サイコケイシトウ)、柴苓湯(サイレイトウ)大柴胡湯は実証用です。胸脇苦満が強く便秘がちなガッチリタイプに向きます。逆に、柴胡桂枝湯は、やや体力のない虚証向けの方剤で、痛みをともなうときに適します。柴苓湯は小柴胡湯と五苓散を合わせた方剤で、むくみや下痢など水毒をともなうときに用います。

▼その他-1
茵ちん蒿湯(インチンコウトウ)、茵ちん五苓散(インチンゴレイサン)、桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)など茵ちん蒿湯は、黄疸に推奨される漢方薬です。ただし、下剤成分の大黄が含まれますので、下痢をしていたり、体力が衰えた虚証の人には向きません。その場合は、茵ちん五苓散を用いたりします。桂枝茯苓丸は、漢方でいう“お血”いいかえれば血行不良を改善する方剤です。これらに柴胡剤を組み合わせることもあります。

▼その他-2
人参湯(ニンジントウ)、四君子湯(シクンシトウ)肝臓に炎症がない場合もしくは落ち着いている場合で、体質的に寒証であれば、温性の人参湯や四君子湯などを用います。その他、証(体質)に合わせて、いろいろな方剤が使われます。