▼肥満症向け方剤
大柴胡湯(ダイサイコトウ)、防風通聖散(ボウフウツウショウサン)、桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)、防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)肥満の多くは、エネルギーが充満している熱・実証タイプです。この場合、エネルギーを抜く瀉性の方剤を用いるのが基本です。大柴胡湯は、胸脇苦満が強く筋肉質でガッチリタイプの肥満に用います。防風通聖散は、おなかの突き出た太鼓腹の人に好んで用いられます。桃核承気湯は便秘がちで月経トラブルのある女性に向きます。これらの方剤は熱・実証用で、体の弱い虚証の人や軟便傾向の人には不向きです。寒・虚証タイプの肥満によく用いるのが防已黄耆湯です。冷え性なのに汗かき、色白でなよっとした水ぶとりタイプの女性に好適です。肥満の場合、これらの基本処方に「よく苡仁(ヨクイニン)」を加えることがあります。よく苡仁には、利尿作用のほか、脂肪の分解を助ける働きがあるともいわれます(本当のところはよく分かっていません)。