湿疹(漢)-2

▼裏・熱証向け方剤
荊芥連翹湯(ケイガイレンギョウトウ)、治頭瘡一方(ヂズソウイッポウ)、黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)、消風散(ショウフウサン)、温清飲(ウンセイイン)、竜胆瀉肝湯(リュウタンシャカントウ)、柴胡清肝湯(サイコセイカントウ)、小柴胡湯(ショウサイコトウ)、大柴胡湯(ダイサイコトウ)、防風通聖散(ボウフウツウショウサン)、桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)、茵ちん蒿湯(インチンコウトウ)体の表面の皮膚病は、基本的に表証です。けれど、慢性に推移する場合、体内の病因も深くかかわるので、より裏証の側面を持ちます。この場合、体質を改善する方剤、ことに“お血”(うっ血)や便秘、肝機能を改善するような方剤が重要となってきます。荊芥連翹湯と治頭瘡一方は、表証にかぎらず慢性の皮膚病にも用いられます。やはり熱証で中間証以上を目安とします。黄連解毒湯は、赤ら顔で、のぼせのある熱・実証用の方剤です。消風散も熱・実証用で、ジュクジュクしたカユミの強い湿疹に最適です。一方、温清飲はより虚証向けで“お血”と燥証を使用目標とします。いいかえれば赤ないし赤紫色をした分泌物の少ない乾燥した湿疹に向くといえるでしょう。一般的ではありませんが、陰部の強いカユミや湿疹に竜胆瀉肝湯を用いることがあります。柴胡清肝湯は、いわゆる腺病質で、皮膚が赤黒く、のどの腫れを起こしやすい子供の湿疹に向く方剤です。そのほか、体質改善を目的に、胸脇苦満があれば小柴胡湯や大柴胡湯を、太鼓腹で肥満傾向の人には防風通聖散を、また月経トラブルや“お血”の所見があれば、駆お血薬の桃核承気湯なども用いられます。これらと、肝臓の働きを助ける茵ちん蒿湯との併用も考えられます。

▼裏・寒証向け方剤
十味敗毒湯(ジュウミハイドクトウ)、当帰飲子(トウキインシ)、温経湯(ウンケイトウ)、八味地黄丸(ハチミジオウガン)、防已黄耆湯(ボウイオウギトウ)、桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)裏証においても、やはり十味敗毒湯が繁用されますが、その他の方剤も証に合わせて処方されます。当帰飲子は、乾燥肌でカユミの強いときに用いる虚証用の方剤です。温経湯は、冷え症なのに手先がほてる症状を目安に、指掌角皮症の治療に用いることがあります。そのほか体質改善の目的を含めて、下半身の衰えた高齢の人に八味地黄丸を、また、汗かきで水ぶとりタイプの皮膚病やあせもに防已黄耆湯を用いたりします。また、月経トラブルや“お血”の所見があれば駆お血薬の桂枝茯苓丸なども処方考慮されます。