証(しょう)とは、体質や体力、病状などを合わせて、その時点の体の状態をあらわすものです。
漢方薬の処方にあたっては、まずその人の証を見きわめなければなりません。
逆にいえば、証が決まれば、おのずと方剤も決まってくるのです。
同じ病気でも、証が違えば別の漢方薬を用いることになります。
このような証にもとづく治療法を「随証治療」とか「弁証・論治」といいます。
この証を判定するための、もっとも基本的なモノサシが「陰陽(いんよう)」の理論です。
流派により少し考え方が異なりますが、おおざっぱにいえば、陰は「体力が低下しエネルギーが不足している状態」、陽は「体力が充実しエネルギーが充満している状態」です。
そして、陰でもなく陽でもないバランスのよい状態を「中庸(ちゅうよう)」とします。
漢方治療の大原則は、陰の人にはエネルギーを補う方剤を、陽の人には体のエネルギーを使わせ病因を追い出す方剤を用いることです。
一言でいえば、「不足なら補い、余分なら出す」ということです。
体全体のバランスを整えながら、病気を治していくわけです。これが、漢方の陰陽理論です。