排尿トラブル(漢)

▼排尿トラブル向け方剤
猪苓湯(チョレイトウ)、猪苓湯合四物湯(チョレイトウゴウシモツトウ)、五淋散(ゴリンサン)、竜胆瀉肝湯(リュウタンシャカントウ)、清心蓮子飲(セイシンレンシイン)、きゅう帰膠艾湯(キュウキキョウガイトウ)猪苓湯は、頻尿、残尿感、血尿など排尿トラブル全般に広く用いられています。もし症状が長びき、貧血症状や皮膚のカサツキがみられる場合には、四物湯を合方した猪苓湯合四物湯を選ぶとよいでしょう。五淋散は、熱感や痛みをともなう炎症性の尿路疾患に向く方剤です。さらに症状の強い熱・実証者向け方剤として竜胆瀉肝湯があげられます。逆に、炎症は弱く、精神的な要因が強い場合には、虚証・気虚向けの清心蓮子飲を用いるとよいでしょう。きゅう帰膠艾湯は、血尿に対して単独もしくは他の方剤と併用します。

▼腎気丸
八味地黄丸(ハチミジオウガン)、六味丸(ロクミガン)、牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)これら腎気丸の仲間も、排尿異常によく用いる漢方薬です。ことに、高齢の人の夜間頻尿や多尿、乏尿、残尿感などにもってつけです。おおまかな使い分けは、冷えのある寒証には八味地黄丸を、そうでないのなら六味丸を用います。牛車腎気丸は、八味地黄丸に利尿作用をもつ牛膝(ゴシツ)と車前子(シャゼンシ)を加えたもので、尿量減少やむくみのあるときに向きます。腎気丸は胃にもたれることがあるので、胃腸の弱い人は慎重に用いるようにします。