心身症(漢)

▼心身症向け方剤-1
柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)、柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)、桂枝加竜骨牡蛎湯(ケイシカリュウコツボレイトウ)、加味逍遙散(カミショウヨウサン)、半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)これらは、心身症や神経症、抑うつ症状に用いる代表的な方剤です。神経の高ぶりや緊張感、不安感をしずめて、心と体の状態をよくします。柴胡加竜骨牡蛎湯は、わりと体力があり、熱証で、ミゾオチから肋骨下部が張っている胸脇苦満(きょうきょうくまん)を目安に用います。柴胡桂枝乾姜湯も同様に用いますが、より虚証向けです。やせ型で明らかに虚証とみられるのなら、桂枝加竜骨牡蛎湯が適当です。加味逍遙散は、イライラや不眠、自律神経の不調による冷えのぼせ、頭痛や肩こり、めまい、動悸など不定愁訴の多い女性に最適です。半夏厚朴湯は、のどのつかえ感を使用目標とし、憂うつ感や不安感のある人に用いるとよいでしょう。

▼心身症向け方剤-2
苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)、きゅう帰調血飲(キュウキチョウケツイン)、抑肝散(ヨクカンサン)、抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)、九味檳ろう湯(クミビンロウトウ)、清心蓮子飲(セイシンレンシイン)、帰脾湯(キヒトウ)、加味帰脾湯(カミキヒトウ)“めまい”をともなうときには苓桂朮甘湯を用いることがあります。きゅう帰調血飲は、月経トラブルや産後の心身の不調、いわゆる「血の道症」によい方剤です。また、イライラして怒りっぽく、寝つきが悪いようなときには、抑肝散や抑肝散加陳皮半夏を用いるとよいかもしれません。ほかに、動悸が気になるのなら九味檳ろう湯を、頻尿や残尿感など排尿トラブルがあれば清心蓮子飲を、また、貧血症状をともなうときには帰脾湯や加味帰脾湯の処方も考えられます。