▼貧血向け方剤
四物湯(シモツトウ)、帰脾湯(キヒトウ)、加味帰脾湯(カミキヒトウ)、当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)、十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)、人参養栄湯(ニンジンヨウエイトウ)漢方には、貧血と同じ意味合いの“血虚”(けっきょ)という考え方があります。四物湯は、“血虚”に対するもっとも基本的な処方で、皮膚や唇がかさつくなど燥証を目安に用います。ただし、この方剤は胃もたれを起こしやすいので、もし、胃があまり丈夫でないのなら帰脾湯や加味帰脾湯のほうがよいかもしれません。当帰芍薬散は、冷え症で貧血気味、顔色が蒼白く、生理不順をともなう女性にぴったりな処方です。ほかに、“血虚”と“気虚”の両方を治す方剤として十全大補湯があげられます。貧血症状を改善するとともに、体力と気力を補い、元気をとりもどすのを助けます。具体的には、顔色が悪く疲労衰弱がひどいとき、あるいは病中・病後、手術後などで体力が弱っているときに用いられます。人参養栄湯も同様ですが、咳がでたり、イライラや不眠・物忘れなど精神症状を伴うときには、こちらのほうが適当です。