不眠症(漢)

▼不眠症向け方剤-1
酸棗仁湯(サンソウニントウ)不眠症に広く用いられているのが酸棗仁湯です。その名前は、催眠作用があるとされる“酸棗仁”という生薬から名付けられました。体力のない虚証の人で、心身が疲労しているにもかかわらず、神経が高ぶりなかなか眠れないようなときに用いるとよいです。

▼不眠症向け方剤-2
柴胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)、柴胡桂枝乾姜湯(サイコケイシカンキョウトウ)、桂枝加竜骨牡蛎湯(ケイシカリュウコツボレイトウ)、加味逍遙散(カミショウヨウサン)、半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)前項の心身症でもとりあげた方剤で、使い分けも同様です。熱・実証向けの柴胡加竜骨牡蛎湯、それより虚証向けの柴胡桂枝乾姜湯、もっと虚証ならば桂枝加竜骨牡蛎湯を用います。加味逍遙散は、不眠のほか、冷えのぼせ、頭痛や肩こり、めまい、動悸など不定愁訴の多い女性に最適です。もし、のどがつまる感じがして、抑うつや不安感をともなうのなら半夏厚朴湯を選ぶとよいでしょう。

▼不眠症向け方剤-3
黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)、三黄瀉心湯(サンオウシャシントウ)、大柴胡湯(ダイサイコトウ)、抑肝散(ヨクカンサン)、抑肝散加陳皮半夏(ヨクカンサンカチンピハンゲ)、帰脾湯(キヒトウ)、加味帰脾湯(カミキヒトウ)、竹じょ温胆湯(チクジョウンタントウ)体力が充実した熱・実証タイプの不眠には、黄連解毒湯や三黄瀉心湯あるいは大柴胡湯なども使います。黄連解毒湯は便秘のない場合に、後者は便秘がちな人に適します。ほかに、イライラして怒りっぽく、寝つきが悪いようなときには、抑肝散や抑肝散加陳皮半夏を、貧血症状をともなうときには帰脾湯や加味帰脾湯を、胃弱な人で夜間の咳で眠れないようなときには竹じょ温胆湯などの処方も考えられます。