漢方薬の効果-3

いくつかの漢方薬では、西洋医学的な臨床試験もおこなわれています。

前項で取り上げた小青竜湯(ショウセイリュウトウ)や大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)、大建中湯(ダイケンチュウトウ)などでは、実薬とプラセボ(にせ薬)を使った比較試験もおこなわれ、その有効性が確かめられています。

小青竜湯の例では、アレルギー性鼻炎に対し、実薬を飲んだグループの約45%の人に効果があったのに対し、プラセボでは13%にとどまりました。

慢性疾患の例としては、小柴胡湯(ショウサイコトウ)の肝機能改善効果、牛車腎気丸(ゴシャジンキガン)の糖尿病性神経障害に対する効果が認められています。

糖尿病性神経障害のある人に牛車腎気丸を飲んでもらったところ、78%の割合で足の脱力感、しびれ感などの自覚症状が改善されたそうです。

ほかにも、西洋薬の吐き気止めと漢方胃腸薬の効果を比較したところ、漢方薬のほうに軍配があったという報告などがあります。

このように、一部の漢方薬については、科学的な手法によりその効果が確認されています。
けれど一方で、多くの漢方薬は、いまだ有効性と安全性の検討が十分されていません。

現在、約150種類の漢方薬が薬価収載されますが、きちんとした臨床試験(治験)を受けずに承認されているのです(漢方薬の特権です・・)。
証による使い分けなど臨床試験のやりにくい面もあることは確かですが、公的な保険薬である以上、やはり科学的な検証も欠かせないはずです。

なお、漢方薬大手メーカーのツムラは、慢性腎不全に用いる温脾湯(おんぴとう)の新規承認をめざし、通常の新薬と同様の臨床試験(治験)を実施しましたが、良い結果がでず開発は中止されました。